深く考えないで捨てるように書く、また

もう一度、自分自身と、自分の中の言葉と生で向き合う

いまどきの、本屋店頭での注文

http://d.hatena.ne.jp/konichan/20070724/1185258381を読んで。


昔はたしかにそうだった。本を注文するというのは一大決心で、なぜなら注文してから2〜3週間待つのが通常だったからだ。その間に他の書店で見つけたらどうしよう、とか、図書館に入ったらどうしよう、とか。それ以前に、3週間もたったら読みたかった気持ちが萎えてしまうじゃないか。そんなわけで、特にお小遣いの少ない学生にとっては、本の注文はほんとに崖から飛び降りるような(そこまではないが)気持ちだったものだ。
流通の関係でそうなっているから、どこの書店で頼んでも待つ期間には変わりなかった。だから仕方ないなそんなものだなと諦めもついたものだ。


そういう時代を知っているから、アマゾンの登場は画期的だったし、それとネット通販の普及に伴って、なんと欲しい本が手に入りやすくなったものかと、自分のようなおばさんはしみじみ世の中に感謝している。
しかし、それでも実店舗の本屋がなくなってもいいとは思えない。だって、本屋好きなんだもの。
私はもともと空間に山のように商品が詰め込まれているような店が好きで、文房具屋、布地屋、雑貨屋、本屋など、ジャンルを問わず、そういう店に行くと至福の時を過ごせる。別に大規模な店じゃなくてもいいのだ、ぐちゃぐちゃと雑多なものが積み上げられているカオスな店であれば。
さすがに本屋ではカオスな積み上げ方をしている店はないが、通路が狭くて天井近くまで本棚があって本が入ってて、みたいな店には思わず顔がにやける。ネット書店ではこの圧倒感は絶対味わえない。
そんなわけで、実は実店舗びいきであった私は、かなりの期間、ここを愛用していた。
http://www.honya-town.co.jp/hst/HT/index.html
オンライン書店e-hon : 本 コミック 雑誌 通販
上が日販、下がトーハンの本注文サイトである。ここでの注文はそれぞれ日販やトーハンへ直接行く仕組みで、個人利用の場合、直接自宅へ送ってもらうこともできるが、近くの加盟書店で受け取ることもできる。この場合、代金はその店へ払うことになる。個人注文なら取次出荷のときにメールでお知らせもくる。
実は書店自身もここを注文窓口として使っている店がかなりある。つまり、そういった書店で本を注文する場合は、これらのサイトから自分で注文して待つのと同じ期間しかかからない。昔のようにいつも必ず2〜3週間待たされる、ということにはならなくなっているはず。
アマゾンなどで買うには単価が安くて送料がかかる本を頼みたい時などは、ここをよく使った。本の代金は書店に入るので書店の通常の売り上げにも貢献する。ネット書店は便利だけど実店舗も頑張ってほしい、売り上げに貢献したいという思いもあった。


しかし、最近は、名指しで欲しい本はほとんどネット書店で買うようになってしまった。以前は加盟書店が便利のいい場所にあったのだが夫の転勤に伴って行きにくくなったことや、近場に別の大型書店ができて単価の低いコミックや文庫本は注文しなくてもそこの店頭に並ぶようになったことなどがあり、上記のサイトや書店店頭での注文はほとんど利用しなくなった。
実はあまり利用しなくなったきっかけとなった、決定的な出来事がある。
ある時、ある特殊分野のムックがほしくて、ネット書店で探したが、やや流通が特殊らしくて見つからなかった。そこで上記の日販、トーハンのサイトで探したところ、トーハンでは書名が出たが日販では出てこなかった。最も便利のいい書店は日販のみ扱いの書店だったので、その書店に直接出向き、店頭でその本の扱いがあるかどうか聞いてみた。サイト上では見つからなくても何か別の情報があるかもしれない、と思ったのだ。すると、店員さんは、カウンターの奥にあるパソコンでなにか調べ始めた。遠目に覗いてみると、それは例の日販のサイトの画面だった。
しばらく真剣に操作していた店員さんは、やがてカウンターに戻ってくると、「扱っていないようです、申し訳ありません」と一言。
店員さんはきちんと対応してきちんと調べてくれた。ちゃんと自分の仕事をしたのだ。いやしかし。
この件でしみじみ分かったのは、自分でパソコンとネットが扱える限り、書店に直接出向いても、店員さんがきちんと仕事をしてくれても、今や自分で自宅で調べられる以上のことは書店でも調べられないのだ、ということだった。つまり、自分のような環境では、書店に直接出向くのは、店頭に並んでいる本を直接見て買うことが目的の場合であって、本について店員さんにより詳しい話を聞くために行くのは無駄なことだ、と気づいたのだった。


とりあえず、本屋店頭で注文することに関しては、

  • 10年前よりはかなり届くのは早くなっている。ネット注文する書店ならば、取次の在庫があれば通販と比べてもそれほど劣らない。ネット書店でも在庫がなければけっこう待つから、これは同じ。
  • ただしネット注文しない書店は旧来のままのはず。店頭注文するならネット注文している店を選ぶべし。
  • 自前でPCとネット環境があれば、出向くまでもなく直接取次に注文できるし、取次からの出荷通知もメールで届けてもらえるから、わざわざ店頭で注文するのは全くメリットがない。むしろ面倒なだけ。

というのが、自分的総括。
加えて、本屋を利用するなら、今は基本的にはチェーンの大型店舗がやはりいい。品揃えの点もそうだが、大型店舗の場合、店員数が多いぶん、大抵の場合バイトでなくそれなりにきちんとした対応の人が一人はいる。バイトが対応に困ったらそういう上の人に聞きに行く体勢が出来ている。小規模店舗の場合、タイミングが悪いと本当にバイトしかいなくて、こにさんの引用したコメントの書店員のようなケースが出てくる。店の責任者あるいはそれ相当の者なら、どのタイミングで取次からの荷物が来て店頭に出すか知っているわけで、朝一に問い合わせが来た場合まだ荷物がバックヤードに留まっている可能性は知っているはず。荷物の開封に関わらない店員だったうえ、責任者に聞きに行かなかったから、こういうとんちんかんなことになってしまったのだろう。その後一ヶ月取りに行かなかった客はわざと嫌がらせをしたのだろうから気の毒ではあるが、最初に客の言い分を全くくみ取らず、調べもせずはねつけた店員は、本人のせいか店員教育の足りなかったせいかはわからないが、やり方を反省したほうがいいと思うな。というか、店長はあとでちゃんと注意したんだろうか。上からの評価が下がる、とあるから、店長は一応問題点を把握はしていたのかな。
(店員のミス、という点についてはこにさんの記事のコメント欄にもありますね。ここまで書いてから気がついた。)