深く考えないで捨てるように書く、また

もう一度、自分自身と、自分の中の言葉と生で向き合う

お針箱の中身は長持ちする

今、日常的に使ってるお針箱は、小学校の家庭科が始まるときに学校で一括購入したもの。つまり約30年前のもの。
こういうものはそうそう壊れないので、木でできた針箱など、何十年も同じものを大切に使っている人も少なくないだろうけど、小学校の教材レベルのものでも長持ちするものだなぁ、と妙に感心している。
中身も多くがその時に一括購入したセットの中身のまま。さすがに糸や針などの消耗品は変わっているけど、でも、あまり使わない赤い綿手縫い糸はついこの間までまだ残っていた。指貫などは、大切にとっておいてよかったと思っている。突然思い立ってキルティングに挑戦したりしているのだが、この小学校で買った皮の指貫が便利。


指貫といえば。
この小学校のお針箱には、くけ台・引っ張り器を入れる専用の区画がついている。
当時の小学校レベルの家庭科では、運針の練習をして雑巾を縫ったり(その時に短針・長針2種の指貫の使い方も習った。教科書に載っていた)、エプロンを縫ったりするくらいで、このくけ台とはいったんなんぞや? 何に使うんだ? と思いつつ、そのまま卒業したものだ。
その謎が解けたのは、中学に入り、家庭科で浴衣を縫うときであった。
なるほど、くけ台ってのはこういう時にこうやって使うものだったのか、とすっきりした。おかげで収納も楽だった。つまり、30年前の小学校教材のお針箱は和裁仕様だったということなんだな。ボビンを入れる専用の区画もあったけど。
そのくけ台は壊れてしまったので随分前に捨ててしまったけど、こういうのって、意外とこういうところで勉強しないと日常生活ではなかなか覚えないことでもある。今どき、洋裁道具はいろいろ見るし、手芸屋あたりでも普通に見るけど、和裁道具はなかなか見かけないんだよねぇ。


実はうちのお針箱の中で一番古いものは、箱自体ではなく、しろも(しつけ糸)である。
この浴衣を縫うときに、しろもがいる、という話をしたら、母が自分の針箱から「もう使わないから」とくれたもの。カセになっている大量のしろも。母の針箱に入っていたものだから、いつの年代物かわからない。私もそうソーイングするわけではないので、使っても使ってもなくならない。しかし、しつけ糸なので、しょうが抜けて使えなくなる、というものでもない。下手すると娘が家庭科をやるようになったら「はいこれ、しつけ糸」と渡すはめになるかもしれない。
考えてみれば、100年以上前のアンティークな布ものって和洋問わずあるわけで、繊維って丈夫なんだよねぇ。