深く考えないで捨てるように書く、また

もう一度、自分自身と、自分の中の言葉と生で向き合う

ぐるぐるして、ぼとぼとすると、思考になる

ブログを読んでいて、まあ実際はブログに限らずニュースでも本でもそうなんだけど、かくんと自分の感覚に引っかかることがある。
「ああ、そうそう、そうなのよ」ということもあるし「いや、なんか違う気がするなー」というときもあるんだが、どっちにしろ、引っかかるということは、それを読む前に自分の中で既にそのテーマについて何か感じている、というか感じていたということなわけだ。
で、引っかかった瞬間は、その引っかかりの正体がなんだかまだ判然としないのだけど、しばらくぐるぐると頭の中でブログの言葉を巡らせていると、だんだんと正体が固まって見えてくる感じがする。やがて、自分の中から「ああ、それについては私はこう思っているんだ」という形を成してくる。
この、だんだんと混沌から形ある思考に固まってゆく過程が、面白い。


たぶん、イザナギイザナミが天の沼矛で混沌をぐるぐるぐると掻き回して、ぐいっと引き上げてぼたぼたぼたと垂れた泥から島ができたときってのは、こんな感じだったんじゃないかなあ。
矛がブログの言葉。混沌の泥海が自分の頭の中。できた島が自分の思考。


あと、そうそう、「ママとあそぼう! ピンポンパン」で、酒井ゆきえお姉さんが工作でキャンドルを作っていたときにも似ている。さらさらに溶けたロウソクのロウに、芯になるたこ糸をつけて、次に氷水につけて、を繰り返すと、だんだんと糸の周りにロウがかたまってごつごつのロウソクができるやつ。
たこ糸はブログの言葉。空き缶の中で溶けている液状のロウが頭の中。固まってきたロウソクが思考。


ブログを読むと、ニュースや本を見ているよりも、思考が固まりやすい気がする。
たぶん、単なる事実やよくまとまった思考よりも、よりレアな(生っぽい)言葉や決して耳障りの良くないまとまらない言葉のほうが、思考を固める作用が強いような。
あれだ、濃い水溶液に小さな粒子などの異物が入ると、みるみるうちに結晶化する、という。つるんとしたものよりも、ごつごつしたもののほうが結晶ができやすい、とか。そんな感じ。