深く考えないで捨てるように書く、また

もう一度、自分自身と、自分の中の言葉と生で向き合う

さよならミノムシ

ここのところずっと、ミノムシを見なくなったなぁと思っていた。
自分の小さいころはとにかく冬になると庭木という庭木にぶら下がっていて、子どもとしては愛嬌のある格好がかわいくて、しかも刺したり動いたりしないから決して嫌いじゃなかったんだけど、木をあらす害虫だってことで、冬になって葉が落ち枝があらわになると、父は一つ一つミノムシを指でとっては踏みつぶして駆除していた。
ミノムシを捕まえてきてミノをはがし、細かく刻んだ折り紙の中に入れると、折り紙できれいなミノを作るよ、なんて実験もよく見たなぁ。学研の科学あたりとか。そういえば、とってきたミノムシのミノをはがしてつなげてバッグにする、とか、とんでもないオカンアートもあったような。祖母が紙箱にミノムシをたくさんとってきて、一つずつハサミで切ってミノを集めていたことを思い出す。あれは結局作品になったんだろうか。
しかし、近年はすっかり見かけなくなった。忙しくしてると気がつかなかったけど、子どもに「ミノムシってどんなの?」と聞かれて、ああそういえば、と思ってどこかで見せてやろうと思ったら、これがなかなかいない。公園にも家の近くの植木にも。野生のカブトムシやクワガタ、ガやらカマキリやらカミキリムシやらバッタやら、その他の虫ならけっこういる地域なのに。
街路樹に農薬まいたりしてのことかな、と思っていたら、外来寄生虫のためにミノムシが地域によっては絶滅危惧されるような状況になっているんだそうな。ということを、今朝、日経新聞を読んで知った。主なミノムシはオオミノガの幼虫なのだが、オオミノガヤドリバエという虫がこれに卵を産みつけて食ってしまうのだそうな。オオミノガヤドリバエは1990年代に日本に入ってきたらしいので、おおむね平成になってから、という感じだろう。特に西日本ではミノムシの個体数減少が激しく、ほとんど見られなくなってしまった地域が多いとか。
ミノムシ自身害虫なので、積極的に保護しようということはないだろうが、種の多様性保存やミノムシによる被害が大したことない*1のを考えると、積極的に絶滅に追い込もうというものでもないような。
いろいろネットで検索して読んでみると、オオミノガがしぶとく残っている地域もあるし、チャミノガという、ミノムシになる別の種は寄生されないそうだから、完全にミノムシが見られなくなるということはなさそうだが、見つけたら「わっ、みーつけた!」というくらいには珍しいものになってしまうのかな。てか、もうなってるわ。


昨夏、幼稚園の植え込みをたまたま覗き込んだら、小さなミノムシがぶらさがっていた。夏だからもう中身は空だっただろう。下の娘に教えてやったら、すごく喜んで、その後数ヶ月、毎週*2お迎えでその前に通るたびに覗きに行っていた。
なんとなく、ミノムシって子どもの気持ちをそそるんだねぇ。私もそうだった。
そういえば、ポケモンにも、ミノマダムガーメイルという、ミノムシをモチーフにしたポケモンがいるな。何年後かの子どもたちにとっちゃ、なにこの虫?になるのかなあ。

*1:昔はあれだけ庭にミノムシがいても、そうそう庭木がやられてたことはなかったのです。たちの悪いのは他にいる。

*2:毎日じゃないのは、毎週1回だけ、都合でバス降園でなく園へお迎えにいき、その時しか二人で植え込みのところを通らないから。