深く考えないで捨てるように書く、また

もう一度、自分自身と、自分の中の言葉と生で向き合う

子どもは科学が好き?

子どもはみんな科学*1が好き、という話を読む。
http://scienceportal.jp/HotTopics/s_communication/sciencep/02.html
あー、そうだな、その点に関しては私もそう思う。最初から全く科学的現象に興味をもたない子どもはいない。日常生活で出会うすべてが新鮮で謎に満ち、「なぜ?」「どうして?」に満たされている。
それに対し、記事の後半では「でも成長すると科学嫌いが増えてきてしまうのはなぜ?」という話になる。まだ記事が第2回なので、この話についてはとっかかりだけで終わっているのだが、

まず目立ったのは、「教える人がきっかけで嫌いになった」という回答です。中には「先生の雰囲気が受け付けなかったから」なんて理不尽な回答も。理不尽です、理不尽すぎます!

http://scienceportal.jp/HotTopics/s_communication/sciencep/02.html

というような、年長者の導き方に問題があったのではないか、ということをにおわすことが書かれている。


さて、ここからが本題。決して元記事に対する反論ではなく、まだ未完である元記事の現時点での公開部分までだけを読んだ上で、連想的に考えたこと。


子どもは科学が好きかというと、実は厳密にいえば、そうではないんじゃないか、と思う。
子ども*2は、新しい発見や、今まで分からなかったことがピンと分かる、ということが面白くて、好きなんじゃないかな。大人の分類で見ると、それは科学なのだけど、子どもにとっては、ただ今まで知らなかった面白いこと、なのだろう。
で、ここからは仮説あるいは激しく暴言、と念のため書いておいて。
そして、子どもが大きくなってくると、興味の対象というか方向が若干変わってくるように思う。具体的には、幼少期に比べて、「人間」に対する興味が強くなってくるのだ。いわば、社会的存在や社会そのもの、社会の中での関係性への興味だ。
これは、ヒトという生物の成長過程で自然に起こる変化ともいえる。家族やごく近しい者だけから成る小社会を脱けてさらに広い社会に出てゆく過程で、またさらに思春期を迎えて、同種他個体への興味、そして比較、観察。観察の対象が、自然現象や他種(動物、植物など)から、自分自身や同種他個体、すなわち他の人間へとかわってゆくのである。
このくらいの年齢になると、面白さの度合いとして、自然科学分野<社会・人間関係分野となる人が増えてくる。この人たちは、新たにどんどん知りたい、探究したい分野が自然科学でなかったのだろう。もともと科学を面白がる人ではなかった。ただ、幼いうちは、まだ人間関係や抽象的概念に関する思考が未発達なため、そちらへの興味をもてなかっただけなのだ。
もちろんその逆、自然科学分野>社会・人間関係分野という人もいる。この中には、コミュニケーションが不得手な人たち(アスペルガーなども含め)、あるいはコミュニケーションへの興味が薄い人たちがある程度いる。
なお、自然科学分野=社会・人間関係分野という人は、少ないけれどいる。なんにでも興味を持ち、なんにでも挑戦していく、好奇心の塊のようなバイタリティあふれるタイプとでもいうか。こういう人は、すごいなー、としか言いようがない。*3


自然科学への興味は、もう小学校低学年あたりになると、かなり個人差がはっきりしてくる、というのが自分の印象だ。
例えばの話、フェノールフタレイン液がアルカリ性になると色が変わる、というのを目の前で実際に実験で見せたとする。この時、「他にどんなもので色が変わるの?」「どうして色が変わるの?」「アルカリ性ってなに? どういうこと?」と興味をもつ子がいる。しかし、一方では、「ふーん、手品みたい」「おお、色変わるんだー」「きれいだねー」「絵の具より色薄いなー」などと思うだけの子も確かにいる。後者の感性が劣っているわけではない。面白さへの興味はあるが、科学への興味はないだけなのだ。
ここで「手品みたい」「おお、色変わるんだー」を科学好きとしてしまうと、ちょっと違うかなぁ、とは思う。


上記の元記事は、キャッチーな話として「子どもはみんな科学好き」という話から入っているのだろうと思うし、第3回以降の話としても、もともと科学が好きだったのに嫌いになるきっかけがあって……という話へ行くものと思われ、もともと科学が好きでもないでもない子を好きにさせよう、という話にはならないだろうから、私がここに書いた内容とは全く関連しない展開になるだろうと思う。
もっともっと科学・理数好きが増えればいいなぁと私も思っているので、第3回以降の記事も楽しみだ。

*1:ここでいう「科学」は、文脈から、自然科学を主に指すと考えてよいかと思う。

*2:ここでいう「子ども」は、幼児期から小学生くらいまでの範囲かと思う。

*3:どちらにもあまり興味がない人もいるのだろうが、それはもう精神活動が全体的に沈滞化した状態というべきだろう。興味がないように見える人でも、なんらかの形で人間関係には興味をもっているケースがほとんどだと思う。