深く考えないで捨てるように書く、また

もう一度、自分自身と、自分の中の言葉と生で向き合う

喫煙者のオアシス

久方ぶりに、用があって都心部まで出かけた。
家族で出かけたのだが、行きの乗り物で下の娘が寝てしまい、身動きがとれなくなった。帰りが遅くなる予定だったので、しばらく寝かせてやったほうがいい、ということで、夫と上の娘はショッピングに行き、私と下の娘はしばらくどこかで待つことにした。
といっても、なかなか都心部では寝た子をゆっくり寝かせる場所はない。数十分くらいのものなので、とりあえずちょっと奥まった場所の喫茶店あたりで過ごすかと、店を探す。
結局、チェーンのコーヒー店ドトールなどのような)ならちょっとゆっくりできるし、お値段もそこそこだし、ということで、やや奥まった場所で広さもある、ある店に入った。
入ってとりあえず腰を落ち着けてふと気がつくと、煙草のにおいがする。最近は禁煙の店も多いので、煙草のにおいをかぐと「あら、珍しい」と感じるようになった。もともと自分は家族など周囲の人間が軒並み喫煙者だったので、自分では吸わないが、煙草は特に苦手でもない。そうか、ここは喫煙OKなんだな、と思っただけだった。
コーヒーを飲みながら見渡すと、あっちでもこっちでも紫煙があがっている。新しく入ってきた人も、空いた席に飲み物を置いて座ると、早速煙草を取り出して吸い始める。目に入る範囲で、煙草を吸っていないのは、私だけだった。
喫煙OKとはいえ、これは驚く。いやー、世の中ってこんなに喫煙者ばっかりだったっけ? そんなわけはない。きっと、この近辺で煙草が落ち着いて吸える場所が少ないのだ。このあたりは路上禁煙地区で外でも吸えない。通常の店(デパート、地下街など)の中はもちろん禁煙で、飲食店でも禁煙の店が増えたし、公共交通機関も禁煙。吸える場所が圧倒的に少なくて、流れ流れてこんな奥まったところの喫茶店に来て、ホッとしてやっと吸えた、という状況なのだろう。
そういえば、みんな煙草を吸っているし、天井も低いのに、店内は全然煙たくない。店のほうもそういう人たちを主な対象としていて、ガンガンと換気しているのだろう。ここならどんどん吸っても大丈夫だよ、おいでおいで、と。
かえって吸わない自分のほうがお尻がむずむずしてしまうような、喫煙者のオアシス。すみません、知らずに入っちゃって、場違いですよね、と心の中で言い訳してしまった。