深く考えないで捨てるように書く、また

もう一度、自分自身と、自分の中の言葉と生で向き合う

近所に友達は30年前にもいなかったなぁ

ちょっと気になったこのニュース。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071121-00000937-san-soci

 コンピューターゲームをする子は5割を超え、2人に1人は習い事をしている−。5歳半の子供のこんな生活実態が21日、厚生労働省の「21世紀出生児縦断調査」で分かった。子供の成長とともに、習い事などの経済的負担を重く感じる親の姿も明らかになった。厚労省は「幼稚園などに通い始め、友達の影響でゲームをする子供が増えたのではないか」とみている。
 調査は子育て支援などの参考のため、平成13年生まれの子供の家庭を対象に毎年継続的に実施。今回は子供が5歳半の時点で実施し、約3万8000世帯から回答を得た。
 調査によると、テレビゲームや携帯型ゲームなどコンピューターゲームをする子供は50・6%で、前回調査よりも22・7ポイントの大幅増となった。ゲーム遊びは1時間未満が最多だが、3時間以上の子供もいた。習い事をしている子供は56・6%に達し、男児は「水泳」、女児はピアノなどの「音楽」が最も人気が高かった。
 また、友達関係で気になることは「近所に友達がいない」が最も多く34・4%を占めた。このうち半数が「ひとりでよく遊ぶ」と回答した。
 子供を取り巻く環境をみると、仕事をしている母親が51・4%で、13年の調査開始以降、初めて半数を突破した。
 子育ての負担や悩みは「出費がかさむ」が42・3%を占め、前回と比べ8・5ポイント上昇した。1カ月の子育て費用も前回より「1万円」「2万円」の割合が減り、「3万円」「4万円」が増えた。

平成13年度生まれは、ちょうど上の娘の学年。余計に興味をそそられる。
ゲームや習い事の件については、あーそうそうそんな感じだろうなぁ、という印象。5歳半だと、まだ一つの遊びにそれほど集中して長時間取り組まない時期なので、やってもせいぜい1日1時間未満が最多、というのは非常に納得。3時間以上ゲームが続く子はむしろ天才かも……って、これ1日あたり平均の話ですよね? 記事には書いてないが。
習い事もそんな感じ。半数以上がなにかやっている。私が園で接したことのあるお母さん(たまたま子ども同士が親しいとか、PTAで一緒とか、遠足のバスで席がとなりだったとか)の子については、80%くらいなにか習い事をしている。残り20%はやっているかどうか不明。やっていない、とはっきりしてる人は一人もいない。通常保育後に課外教室がある園であるのも手伝っているかな。延長保育がわりに課外教室をさせる人もいるらしいので。


ところで、友達関係のこと。
今どきに限らず、5歳半で近所に友達がいないことは珍しいことではないと思う。うちの娘もそうであった。じゃあ子ども同士で遊ばないかというと、そんなことはなく、幼稚園ではいろいろな子と遊んでいるし、公園や児童館へ遊びに行けば、そのへんの知らない子とうまいこと遊んでいる。娘はどっちかというと愛想がよくコミュ巧者で、誰にでも声をかけてさっさと仲良くなっているタイプである。
しかし、近所に友達はいなかった。
なんのことはない。近所の同年代の子は、別の幼稚園へ通っていた。だから接点がなかったのである。たまたま近所の子と同じ園に通っていれば、仲良くなっていただろう。
小学校になると、学区ごとに固まるから、ある程度近所の同年代の子と接点ができる。地域の子ども会というのもあって、なんのかんのと近所の子と顔見知りになる。しかし、幼稚園・保育所時代は、意外とばらばらに通っている。保育所などは必ずしも近所に通えない場合もあるし、たとえ隣同士の子でも、別の保育所に振り分けられたりする。幼稚園は各家庭で選ぶが、選ぶ基準もそれぞれで、バス通園などもあると、近所同士でも全然異なる幼稚園に通っていたりする。子どもにしてみれば、やはり幼稚園でいつも会う子のほうが仲良くなりやすいようで、家に帰ってから全然違う園の別の子と遊ぼう、という気は特に起こらないようだ。


30余年前、5歳の私は保育園に通っていた。保育園に友達は何人もいて、いつも楽しかった記憶がある。
しかし、近所に友達はいなかった。保育園は、歩いて20分くらいの、やや遠めの場所だった。未就学児が歩いて遊びにいける範囲に、同級生はいなかった。1学年下の子は2人ほどいたが、互いに家にあがりこんで遊ぶほど親しくはなかった。たいてい家でひとりで遊んでいたけれど、別に寂しくはなかった。ひとり遊びが好きだったこともあるし、保育園で十分友達と遊んで満足していたからというのもある。小さい妹はまだ赤ん坊で、遊び相手にはならなかったが、でも赤ん坊と接しているだけでもけっこう面白かった。
未就学時の行動範囲の狭さ、興味の狭さ、行動時間などを考えると、「近所に」友達がいないことは、別になにも特別なことではなく、昔からそんなもんだっただろうと思うのだが。


この調査のポイントは、親が回答しているということだ。
子ども本人は別に気にしていないかもしれないけれど、親は「近所に友達がいない」ことが気になっている、という結果なのである。
「近所に友達がいない」ことの主なデメリットは、園からの帰宅後の遊びはほとんど親がつきあわねばならない、という点だ。たぶんこの悩みをもつ親の大部分は幼稚園児の親で、2時に園まで直接迎えにいって、帰宅してきて夕方までまだこんなに時間があるわね、子どもは「遊んでよー」と寄ってくる、という生活パターンなのではないかと予測する。この時間では、遠くの友達の家まで押しかけて、というわけにもいかないし、公園に連れて行くにしてもその間親がつきあわねばならないし、なかなか厳しい。近くにお友達がいればいいのになぁ、ということになる。


まあ、近所に友達がいないのが気になるといっても、回答総数の3分の1にすぎない。残り3分の2は気にしていない(もしくは近所に友達がいる)ということだ。逆に考えると、近所に友達がいない程度のことが、友達関係で気になることの最多回答になるってことは、わりあい穏やかな状況なのかもしれない。他の選択肢にどんなものがあったかこの記事からは不明だが、友達とうまく遊べないとか、仲間外れにされるとか、いつも怪我して帰ってくるとか、いつも誰かに怪我させてくるとか、そういう深刻でないところがいいなあ。