深く考えないで捨てるように書く、また

もう一度、自分自身と、自分の中の言葉と生で向き合う

技術

日本語で「技術」というと、techniqueを表す場合と、artを表す場合がある。
前者は、技法と言い換えることもできる。何かをする場合の、純粋なやり方、手法のこと。後者は、訓練して身に着けた技術のこと。
工芸の分野でたとえるとわかりやすい。たとえば、曲げわっぱの弁当箱を作るとする。作り方として、薄く長い板を削り、丁寧に曲げて形にし、隙間のできないようにぴったりと止め…なんてのはtechnique。実際に職人さんが作っているときに使っているのはart。
もっと身近なところにも、もちろんある。料理を作るのに、きゅうりを薄切りにします、というのはtechnique。実際に薄切りにしてみると、初めて切る人は厚さもバラバラで切るのも遅い。上手な人はすばやく、均一な薄さで、しかも作る料理に適した厚さ大きさに切る。これがart。
techniqueは他人に伝えやすいが、artはそのまま伝えることはできない。artを伝えようとすれば、その翻訳物としてのtechniqueが必要となる。
artはもちろん重要であり、実際に有用だ。techniqueはそれだけではなんの役にもたたないが、しかしartを伝えるものとしては不可欠だ。