深く考えないで捨てるように書く、また

もう一度、自分自身と、自分の中の言葉と生で向き合う

痛みを強化すること

一度に複数の場所に痛みが起こると、その全部について同じように痛みを感じるわけじゃない。そのうちの1ヶ所では痛みを感じるが、他の場所の痛みはあまり感じなくなる。一度に足と手と背中に怪我をしても、その全部が一度に痛むのではなく、特に気になる場所だけが痛む。他の場所は、確かに怪我はしていて、末端の痛覚は刺激されているんだけれど、頭では痛いとあまり感じない。
逆に、ある場所の痛みについて、いつもその痛みについて考え続けていると、痛みは止まらないし、むしろ痛みが強化されることすらあるようだ。例えば、慢性的な関節痛があったとして、いつも「この痛みはいつか止まるかなぁ」「この痛みさえなければいいのに」「こうしたら痛みがよくなるかなぁ」などと考え続けていると、痛みはなかなか止まらない。慢性的な痛みだと、日によって純粋な痛み刺激の程度は違うだろうが、毎日「今日は痛みが軽くなってるかな」「今日は痛いかなぁ」と確認しつづけていると、痛みはなくならない。*1痛みを意識することで、痛みが確認され、喚起される。
痛み=痛覚ではない。神経の刺激としての“痛覚”と、それを脳で処理して感じる“痛み”とは、深く関連はするものの、同一のものではない。


痛みを完全にコントロールすることは難しい。実際に起こっている痛覚を、精神的な技術だけでなくすことはできない。多少軽減することはできるだろうが。
しかし、痛覚を意識することで痛みを強化することは可能なのだと思う。そうやって痛みを強化することにメリットは特にない、むしろデメリットが大きいとは思うけれど。


というようなことを、心の痛みについても思う。

*1:痛みの元の病気や怪我などが軽快すれば痛み刺激そのものが少なくなるので、当然痛みは減ったりなくなったりする。