「人を殺す」の「殺す」という言葉自体、積極的に死に至らしめるよう働きかける、という意味を含む。
「殺す」と「死なせる」は異なる。「死なせる」と「死に向かう状況を見過ごす」ことも異なる。刑法上では未必の故意として「死なせる」「死に向かう状況を見過ごす」ことも殺人罪に該当するとされることがあるが、言葉のニュアンスとしては違うものだと思う。
なぜあえて「殺す」を使うのか。どんな意図をもって「殺す」という言葉を選択するのか。
つい口を滑らせてしまったとかならともかく、時間を使って記す書き言葉であれば、その言葉を選択する意図が意識的あるいは無意識的にあるはずなのだ。