深く考えないで捨てるように書く、また

もう一度、自分自身と、自分の中の言葉と生で向き合う

産みたくない理由なら産んだ人間にでも山ほど挙げられる

自分は2人産んだ人間だが、でも産みたくない理由は山ほど挙げられるわけだ。
仕事を続けることに差し障りが出るし(それで出産を期に仕事をやめてしまったが)、続けることができてもやはり思うように仕事はできないし。子どもがいるだけで行ける場所やれることに制限ができるし、制限されないまでも、子連れというだけで歓迎されなかったり邪険にされたりすることもある。でも、子どもがいないとできないことなんてほとんどない。仮に子ども手当がちょびっと増えたとしても、どうせ子どものなんやかんやで赤字だし。
子どもがいるとこんなにいいよー、なんて他人に勧められるようなものは、なにもない。産んだ私がそう思う。
もちろん、現実に子どもをもってよかった、と思う人はたくさんいるし、私もよかったと思っている。子どもをもたず仕事を続けている人生*1とは、どっちがいいかではなく、どっちもいい。どっちもそれぞれに楽しく幸せになれる要素が十分にあると思う。でも、それは個人的な感覚に依存するもので、みながそう思うわけではないし、なぜそう感じるかをそもそも説明できない。
まあ、そんなわけで私自身は、他人に「産むといいよ」なんて勧める気はさらさらなく、「産んでみればいいのに」という気持ちも全くない。むしろ、産まないほうが自分自身の人生だけに限れば間違いなく楽しく過ごせると思っているくらい。


従来は、とうぜん産むものだ、という概念が世間全体にあって*2、その前提のもとに、「こういう理由で産みたくない」と、産むことに抵抗する人々が戦っていた。
現在は、産みたくないこと*3が当たり前になっていて、それに対して、産むことはこんなに素晴らしいよ、と誰も言えない。下手にそう言おうものなら、「産みたくても産めない人の気持ちを軽視している」「産んで結局苦労するのはあんたじゃなくて私たちだ」「産むことについて他人に無責任にどうこう言われたくない」「ウザい」と猛烈な反発がくるのは必至だ。
もともと産みたいと思っていた人でも産みたくなくなるような情報ばかりが流れ、産んだからこんなに素敵、という情報はシャットアウトされる。産んだ後の情報は、どうしたら育児のつらさを緩和できるか、制限の多い中どこなら子連れでも楽しめるか、そういうノウハウ話ばかり。そうやって抜け道を用意しない限り育児は大変なものなんだ、という印象を受ける。特にネットの世界ではその傾向を顕著に感じる。
そして、育児って実際にそういうきついものだから、ますます始末に負えない。


ますます産みたくない人が増え、少子化になるのも当たり前なんだな。

*1:自分の場合、職種と周囲の環境のため、仕事と育児の両立は考え得なかった。

*2:それで良いのかどうかはまた別の話。

*3:前の記事でも書いたが、「経済的な理由で産めない」「仕事上の理由で産めない」なども、現状の条件では産みたくない、という選択と考えている。